こんにちは。じゃっきーです。
今回も、結論から申し上げます。
『研究の意義は、先行文献を真似る』
です。
「先行文献を真似る」ことは、研究初心者であれば、「研究の意義」に限らず、文章を書くには、とても参考になります。
中でも、研究の意義は、論理的に組み立てて、目的につなげる必要があります。
その構成には、慣れた研究者であっても、必ず多くの時間を充てています。
そんな、研究の意義ですが、
当ブログでは、忙しい、看護師向けに、できるだけコンパクトに、ポイントだけを、かいつまんで、お伝えしていきます。
【研究の意義の書き方】
研究の意義は、以下の3つのポイントに沿って、書いていきます。
1.今回の研究テーマについて分かっていることは何か?
2.この研究テーマがなぜ重要なのか?
3. 研究によって、どのような結果が期待でき、貢献できるか?
さあ、はじめましょう。
と、いきたい所ですが、ちょっと、ここで待ってください!
「研究を成功へ導く鍵」の作業をしなければなりません。
それは、何かと言いますと。
『文献検索』です。
文献検索は、研究を行う上で、必須の作業です。
なぜ、必須かと言いますと、上記ポイントの「1、2」では特に、
文献を引用し、根拠を提示しながら、書いていく必要があるからです。
また、科学論文は、必ず、その根拠を明確にする、ことが大切だからです。
「文献検索の仕方」については、また、別の機会にお話しをさせていただきます。今回は、文献検索をして、文献を2本手に入れた、ところから始めます。
以下の、2本の文献を手に入れたとします。文献は架空の文献です。
①「急性期認知症病棟でのBPSDの調査」
②「認知症病棟スタッフの身体的疲労についての聞き取り調査」
文献を入手したら、まずは、文献をしっかり読んでください。
そこから、文献の「結果」に着目します。
①の結果は、こう書かれていました。
BPSD(行動・心理症状)で多かった症状は、暴言・暴力88%、介護抵抗(興奮)78%、徘徊68%であった。
②の結果は、こう書かれていました。
88%の者がBPSDに対する対応困難を訴えており、その内、身体的な疲れがあると回答した者は、98%であった。
この科学的根拠を基に、研究の意義を、早速書いてみましょう。
何度も言いますが、この部分は、先行文献を真似る、を意識しましょう。
研究論文の、どの部分が「研究の意義」に当たるのかというと、
「はじめに」や「緒言」という部分になります。
<1.今回の研究テーマについて分かっていることは何か?>
では、書き始めです。
この部分では、国の資料等を用いて、現状を書きます。
例: 下記の文章等は全て架空のものです。
我が国では、高齢社会が進行しており、20〇〇年には、75歳以上において、認知症患者の割合が、〇%になると報告されている1)。認知症患者は、誰にでも現れる中核症状と、周りの人々や環境、自分の性格によって生じるBPSD(行動・心理症状)とがある。介護者が対応に困るのは、中核症状よりも、BPSDだと言われている2)。
文章の終わりに付いている、1)や2)は、文献を引用したことを示しています。本来は、右上に小さく上付けします。Wordではフォント→文字飾り→上付き、で変更できます。
文献を引用した場合、研究論文では、参考文献として、最後に、
1)〇〇:認知症と看護,認知症学会誌33(1),777-781,2001.
2)〇〇:~
と、いった感じに記載されています。
このように、今回のテーマの現状が書けたら、
次に、先行文献の「結果」を引用しつつ、「分かっていること」を書いていきます。
先行研究において、急性期認知症病棟では、BPSDを呈する患者は、暴言・暴力、介護抵抗(興奮)、徘徊といった症状が多いと報告されている3)。また、認知症病棟のスタッフの多くは、BPSDに対する対応の困難さを訴えており、その大部分の者が、身体的な疲労を訴えている4)。
上記のように、分かっていること、明らかになっていること、を記載します。
<2.この研究テーマがなぜ重要なのか?>
続けて、例を示していきます。
ここでは、今回の研究テーマがなぜ、重要であるのかを、前述を活かしながらのべましょう。
BPSDからの身体的な疲労が、精神的な疲労に繋がっていくことは、十分予測される。認知症病棟スタッフの心身の健康を維持し、患者が安全で安心した入院生活を送ることができることは、重要な課題である。
末尾に、「重要な課題」というような、キーワードを入れておくと、読み手に重要さを伝えやすいかもしれません。
<3.研究によって、どのような結果が期待でき、貢献できるか?>
最後も、例を示していきます。
しかし、認知症病棟スタッフの精神的な健康状態について、調査した研究は、ほとんど見られていない。スタッフの精神的な健康状態を把握することによって、健康向上への方策を立案するための、一助となることが期待される。
と、書いてみました。
上記に書いた文章を全てまとめると、今回の「研究の意義」は、このような感じになります。
我が国では、高齢社会が進行しており、20〇〇年には、75歳以上において、認知症患者の割合が、〇%になると報告されている1)。認知症患者は、誰にでも現れる中核症状と、周りの人々や環境、自分の性格によって生じるBPSD(行動・心理症状)とがある。介護者が対応に困るのは、中核症状よりも、BPSDだと言われている2)。
先行研究において、急性期認知症病棟では、BPSDを呈する患者は、暴言・暴力、介護抵抗(興奮)、徘徊といった症状が多いと報告されている3)。また、認知症病棟のスタッフの多くは、BPSDに対する対応の困難さを訴えており、その大部分の者が、身体的な疲労を訴えている4)。
BPSDからの身体的な疲労が、精神的な疲労に繋がっていくことは、十分予測される。認知症病棟スタッフの心身の健康を維持し、患者が安全で安心した入院生活を送ることができることは、重要な課題である。
しかし、認知症病棟スタッフの精神的な健康状態について、調査した研究は、ほとんど見られていない。スタッフの精神的な健康状態を把握することによって、健康向上への方策を立案するための、一助となることが期待される。
この後、「そこで、本研究では、」といったように、目的へと繋がっていきます。
コンパクトにまとめても、これだけの内容量になっています。
あなたの施設の研究計画書(以下:計画書)の様式によっては、より簡潔にまとめる必要が出てくるかもしれません。
論文は、長く書けば良いものでもありません。
短く、簡潔に、論理的である論文は、スマートと言えるでしょう。
【研究の意義を書く時のポイント】
①文章は「~である」調で書く。
②「~であると考える」というように、自分の考えを表記しない。あくまでも、先行文献を引用し、明確な根拠を述べる。
【研究の意義の書き方 まとめ】
1.研究の意義は、先行文献(論文のはじめに、緒言の部分)を真似る。
2.3つのポイントに沿って書き進める。
3.文献検索を行い、文献を引用し、根拠を提示しながら、書いていく。
以上です。
※研究の意義については、その構成が難しく、十分な時間をかける必要があります。
場合によっては、計画書の他をすべて埋めた後、最後に取り掛かる研究者もいます。
ぜひ、計画的に、気持ちに余裕を持って、取り組みたいですね。
【参考文献】
・よくわかる看護研究の進め方・まとめ方 量的研究のエキスパートをめざして 第2版 医歯薬出版株式会社
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